ウェブ媒体と紙媒体と「漢字のひらき」



私はウェブ媒体を前提として仕事をすることが大半なので、常に横書き表示になること、スクロールされることを考慮しています。そして「読みやすさ」を大きく左右するのが「漢字のひらき」です。

ウェブライターの仕事


ウェブ媒体からの受注は、具体的にこんな感じ。

  • ウェブサイト
  • ブログ
  • ランディングページ
  • アプリ
  • SNS
  • ネットショップ
  • 動画のテロップ
  • 電子書籍

たまに印刷物の仕事もありますが、比率は少ないです。

  • 社内配布用の資料
  • 動画の台本
  • チラシやガイドブック
  • リーフレットやパンフレット
  • ダイレクトメール
  • メッセージカード

ウェブ媒体の文章とは?


ひと昔前のクラウドソーシング界隈には、「紙媒体出身はプロのライター、ウェブライターはその一段下の存在」という風潮がありました。

ただですね、ここ数年はそうでもないと思うんですよ……

「元新聞記者」「雑誌で書いてました!」という人より、今はSEO対策やグラフ作成、SNSマーケティングもできる人が重宝されます(あくまでも個人的な感想)。

こうした変化は、はたして「その他のオプション」だけが理由なのでしょうか? 私は、文章への感覚も影響してる気がします。


「漢字のひらき」と読みやすさ


ウェブ向きの文章は読みやすさが大切なので、「漢字のひらき」が大切です。

例えば、「和食っておいしいですよね!」「参考にしてくださいね!」は開いていますが、閉じると「和食って美味しいですよね!」「参考にして下さいね!」となります。

「漢字をひらく」「閉じる」という表現は、別にウェブ用語ではありません。ただ、漢字・カタカナ・ひらがなに対する比率の感覚が、ウェブ媒体と紙媒体では決定的に違うと思うのです。

ページをめくる? スクロールする?


ウェブ媒体と紙媒体の読者の違いは「ページをめくるかスクロールするかの違い」です。

紙のページをめくる人は、立ち読みなのか購入したのか知りませんが、その本や雑誌を自分で選択して手に取ったという自覚があります。

記事がつまらなければ冊紙を閉じるでしょうか? いや、おそらく他のページを試しに読んでみると思います。「同じメディア内での移動」ですね。

一方、ウェブ媒体は、気が付くと見ていた、たまたまクリックしたら辿り着いたというケースが多いので、自分で選んだ自覚は希薄です。

記事がつまらなければ他の記事を読むでしょうか? いや、おそらく「戻る」をクリックして離脱します。そして、ブックマークしているお気に入りサイトへ移動するでしょう。これは「他のメディアへの移動」です。

目視の引っかかり


ウェブ媒体には「離脱させてなるものか」「一期一会だから逃しちゃならぬ!」という気合があります。

だから、目視した際の「引っかかり」を、紙媒体より重要視しているような気がします。

文章の「読みやすさ」だけでなく、漢字・カタカナ・ひらがなの比率を、パッと見たときの絵、模様、ビジュアルとしてとらえているのではないでしょうか。

例えば「漢字をひらいた読みやすい記事」に、あえて【おしゃれ】ではなく【お洒落】という閉じた単語を入れて文字列(ビジュアル)をぐっと引き締めるとか。

おしゃれでもオシャレでもない【お洒落】は、ある層の人に「引っかかり」として機能します。多分「大人女子」「オトナ」「丁寧な暮らし」の人たちに引っかかりそう。

「文字もビジュアルの一部」という点は、ウェブ媒体も紙媒体も共通していますが、ウェブの方が重視されていると思うよ、というお話でした。